0 Kitty Pointsからトップへ:Kuseが Product Hunt で見せた戦略と学び

KuseはProduct Huntに初登場し、その日の「Product of the Day」で1位を獲得しました。ここでは、話題となったAIワークスペースの裏側にある戦略、学び、そして実体験をご紹介します。

October 19, 2025

8月15日、何ヶ月にもわたる構築と計画、そして時差を超えた深夜の打ち合わせを経て、Kuse は Product Hunt に登場しました。そしてその日のうちに、#1 Product of the Day の座を獲得。24時間で500人以上のアップボートを集め、Product Hunt の創業者 Ryan Hoover までがローンチページにコメントを残してくれた——まさに忘れられないスタートアップの瞬間でした。

しかし、その祝杯のオレンジバッジの裏には、数週間にわたる準備、数百の小さな判断、そして多くの学びがありました。Product Hunt は単なるマーケティングの仕掛けではなく、鏡です。それは、あなたのプロダクトの強さ、ストーリーの明快さ、そしてコミュニティの深さを映し出します。

以下が、私たちが実際に採った戦略、得た教訓、そしてもしもう一度やり直すならこうする、という振り返りです。

なぜ Product Hunt か?――世界に届く舞台

Product Hunt は、新製品の公開の場として世界中から注目されているプラットフォームです。毎日、多くのクリエイターがプロダクトをローンチし、テック好きを中心に、創業者、投資家、アーリーアダプターたちからの支持を競います。

なぜProduct Huntなのか?その理由がこちらです:

世界中のアーリーアダプターや投資家にリーチできる

実際のユーザーからフィードバックを得て、製品改善に役立てられる

広告費ゼロで新規ユーザーを獲得可能

メディアやSNSで話題になりやすい

投資家や将来の仲間との出会いにつながる可能性も

Semrushによれば、Product Huntは月間90万〜100万の訪問者を抱えており、その多くはアメリカやインドといったテック大国からのアクセスです。しかも完全無料でローンチ可能。ここまで魅力的なチャンスを逃す理由はありませんでした。

#1を獲得するまでの道のり:私たちのプレイブック

1. 何よりも「良いプロダクト」をつくること

一番大事なことを一つ挙げるなら、どんな戦略も、弱いプロダクトを成功に導くことはできないということです。

Product Huntは「舞台」に過ぎません。24時間のスポットライトの後に残るのは、そのプロダクトが本当に課題を解決するか、価値を届けているかという一点だけです。

Kuseは、バラバラなファイルや文脈に埋もれる“仕事の混乱”を解消するために設計されました。PDF、スライド、YouTubeリンク、スプレッドシート……それらを一つの視覚的でインテリジェントな空間にまとめる。それがKuseの出発点でした。

ローンチ時点ですでにKuseは日常的に使われており、その実績があったからこそ、タグラインも動画も“アイデアを売る”のではなく“解決策を見せる”ことができました。

2. ローンチページは“製品そのもの”として磨く

プロダクトが「心臓」なら、ローンチページは「顔」です。多くの人にとって、唯一触れる機会がこのページです。つまり、初見で「この製品は自分に必要だ」と思ってもらえるかが勝負。

私たちはローンチページをまるでプロダクトのように仕上げました。見出しから動画、スクリーンショット、創業者メッセージまで、何度も議論と書き直しを繰り返しました。

見出し:明確で具体的、かつ魅力的な一文にする

動画:興味からアクションへとつなげる“決定打”

画像:瞬間的に価値が伝わる“視覚の要約”

創業者メッセージ: 何をなぜつくったか、“想い”を語る場所

ローンチ動画についてはも徹底的にこだわりました。USCの映画学生を採用し、最終版にたどり着くまでに3つのバージョンを制作してもらいました。それは単なるデモ映像ではなく、ひとつの物語でした。Kuseを使う前の“混乱”、そして使った後の“明瞭さ”を描いた短編映画です。

その動画は、今回のローンチの中でも特に多くの反響を集めた要素のひとつになりました。Product Huntでの人気を高めただけでなく、SNS、広告、メール配信など、さまざまな場面で繰り返し活用できる強力な資産にもなりました。

3. “動員”なくして成果なし

Product Huntは、受け身では勝てません。アップボートは自動で集まりません。全力で動く必要があります。

アップボートは勝手に集まるものではありません。自分たちで取りに行く必要があります。そのためには、使える手段をすべて動かすことが大切です:

SNS:X、LinkedIn、Threadsなど、コミュニティが集まっている場所でローンチを知らせる。

グループとコミュニティ:特定分野向けのSlackチャンネルやDiscordのグループ、創業者向けのフォーラムなどは大きな力になる。

人々とのつながり:友人、家族、初期ユーザーなど、身近な人たちにも応援をお願う。

ローンチ当日はまるで長距離走のようでした。チームは複数のタイムゾーンに分かれて交代制で動き、常に勢いを切らさないよう維持しました。多くのチームは最初の6時間で大きく盛り上がり、その後失速していきます。私たちは24時間を通して勢いを保つことを目標にし、とくに競合が動きの鈍くなる“深夜帯”を重視して取り組みました。

この「勢いを切らさない」という一つの戦略は、想像以上に大きな効果を生みました。多くのチームが静かになっていく時間帯でも、私たちは着実に順位を上げ続けていました。そして、その積み重ねこそが最終的に1位へと押し上げてくれたのです。

-> 同日に公開された各プロダクトのアップボートは、こちらのサイトで確認できます:https://hunted.space/dashboard/kuse

4.戦略を重ねるて、より大きな効果を生む

最も効果的だった戦略のひとつは、ローンチと同時に他のマーケティング施策を重ねることでした。

たとえば、ローンチ当日にインフルエンサーによる投稿を仕込み、その投稿から新規ユーザーが流れ Product Hunt のページに到達する、という流れを作りました。そして逆もまた然り。Product Hunt でのバズが、そのインフルエンサー投稿にさらに信頼性と注目を与えました。

また、メール配信の計画やSNSの投稿スケジュールも、ローンチの日に合わせて統一しました。狙いは、一瞬の盛り上がりではなく“大きな流れ”をつくることです。うまく組み合わせれば、個々の戦略の足し算では届かない、大きな効果を生み出せます。

5.信じすぎてはいけない“2つの落とし穴”

Product Huntで成功するために「絶対にやるべき」と言われることは数多くあります。もちろん役に立つものもありますが、正直なところ、評価が過剰なものも少なくありません。ここでは、私たちが実際に検証してわかった“2つの落とし穴を取り上げます。

落とし穴1:高い Kitty Score が不可欠

「Kitty Score」(コミュニティでの活動を示す指標)は、掲載されるために欠かせないものだと言われがちです。確かに役に立つ場面もありますが、必須というわけではありません。

私たちの創業者アカウントの Kitty Score は 0, 0, 3 でした。それでも注目され、勝ち取りました。偽アカウントや水増しでスコアを稼ぐのはリスクが高く、むしろ逆効果をもたらしかねません。Product Huntの不正検知は厳しく、スコア操作の疑いを持たれれば、ローンチ枠そのものを失う可能性があります。エネルギーは、しっかりした製品づくりと良いページ作りにこそ注ぐべきです。

落とし穴2:有名なハンターが必要

よくあるアドバイスのひとつに、「有名なハンターに投稿してもらうべきだ」というものがあります。確かに、影響力のあるハンターに依頼すれば、注目度や掲載の可能性が高まることもあるでしょう。

しかし、それが“絶対条件”というわけではありません。プロダクトに力があり、ローンチページの構成がしっかりしていれば、有名でないハンターでも十分に成功できます。

私たちの場合、KuseのアドバイザーであるSiqi Chen氏にハンターをお願いしました。彼はRunwayの現CEOであり、かつてはSandbox VRのCEO、ZyngaのGMも務めていた実績ある人物です。ただし、Product Huntでプロダクトを“ハント”するのはこれが初めての経験でした。

それでも、私たちはしっかりと注目を集め、無事に掲載されました。

最後に:オレンジバッジのその先へ

Product Huntで「#1 Product of the Day」になることは、ゴールではありません。それはむしろ、通過点に過ぎないのです。

確かに、このバッジは強力なシグナルになります。しかし、企業やプロダクトを本当に形づくっていくのは、その後にどんな行動を積み重ねるかです。アップボートが止んだ後も、つくり続けること、改善し続けること、ユーザーの声に耳を傾け続けること、そして成長し続けること──本当の仕事は、そこからが本番です。

私たちにとって、今回のローンチは単なるマーケティングイベントではありませんでした。それは、私たちがものづくりにおいて大切にしている価値観──「本質的な課題を解くこと」「物語を明確に伝えること」「そしてコミュニティの力を信じること」──をそのまま反映した出来事だったのです。

このブログを通じて伝えたいのは、完璧な実績も、有名なハンターも、高いKitty Scoreも、必ずしも必要ではないということです。必要なのは、ブレずに集中する力、地道に積み上げる粘り強さ、そして“本当に人に必要とされるもの”を届けようとする姿勢です。

結局のところ、Product Huntは“鏡”のような存在です。もしあなたが本当に価値あるものをつくっていれば、その鏡はきっと、それを正しく映し出してくれるはずです。